高齢の税理士になればなるほど、事務所の職員も、所長と同じように高齢になります。
30年以上も同じ業務をやっていれば、新しい業務を担当することは難しくなります。
職員の言うがままに、事業承継業務を展開していくわけにもいきません。
従業員にとって、事業承継は実に面倒くさい、業務です。
というのも、税理士さんがいなくても、実は税理士事務所の仕事は進みます。
職員だけで、実は確定申告業務は、十分こなせますし、こなさなければいけません。
事実、ほとんどの事務所で、今週末を待つまでもなく、確定申告業務は終わっています。
しかし、この後に3月決算の仕事が続きますので、ほっとできるのも一瞬です。
そんな折に事業承継を進めると、気分の高揚した職員からのブーイングも出てきます。
さらに高齢化した職員には、まったく新しい経営者の下で働くことに危惧を感じます。
気心の知れた経営者の下だから、充実した仕事ができていた、という自負もあります。
20年以上も変化のなかった事務所の大変革ですから、心穏やかではありません。
子育ても終わり、生活にも追われなくなった状況では、ひょっとすると、これを機会に退職?
新しい経営者にとって、ベテランの情報は得難いものですし、お客さんとの交流も重要です。
彼らがいなくなると、お客さんもいなくなってしまう恐れがあります。それだけは避けたい。
しかし、ベテラン職員が事務所運営に障害になってはたまりません。
そこで、譲り渡す側の先生の腕の見せ所。気心が知れていますから、”解決策”を提示できます。
ベテラン職員が実力を発揮し、うまい具合に事業承継が行われてる事務所も数多くあります。
そんな事務所の例を数日前にも書いておりますので、参考にしてもらえます。
でも、慎重に事を進めませんと、従業員の”反乱”があることもあります。
過去に女性4名が事業承継に反対し、83歳を超えた今も税理士稼業を辞められない先生もいます。
優しい先生だけに、従業員の働き口を確保し続けているわけです。どちらが良いんでしょうか?
事業承継支援室
大滝二三男