会計事務所の職員は税理士試験挑戦者、それに伴う諸条件を許しているから、給料は一般企業より安くてもいい、というのが、経営者である税理士の認識。
だからといって、職員が税理士試験に合格し、登録に必要な条件を備えたときに、はたして自分の事務所の職員として継続雇用するでしょうか? 必ずしもそうではないのが現実。
安く使うが、税理士となった場合には、将来独立することを考えると、自分の顧客を持っていってしまうというリスクを抱えることになる。そのリスクを避けるため、資格を取得した後はできれば退職を奨励する所長も。
「事務所には私以外の税理士は要りません。登録するのであれば自宅にしてください」と、はっきりと資格取得者に断言する所長さんもいらっしゃいます。
その言葉が、数十年後といいますか、ご自身が事務所を閉鎖しようとするときに、まさに後継者がいなくて二進も三進もいかなくなっているケースが非常に多く見受けられます。
ご自身で後継者を排除してきたのですから、「今さら」と思うこともしばしばです。そんな人ほど「後継者となる若い人はいませんか?」と問い合わせしてくるわけですから、本当に「今さら」となります。
それでも、弊事業承継支援室では、最適な候補者を探し出し、後継者を希望される先生にさまざまな情報を提供し、ご自身が本当に事業承継しようとしているのか否かを、確認していただいております。
本当の腹が決まっていれば、極短期間にお相手を探すことはできます。しかし、所長さんやそのご家族の意思がはっきりしていませんと、やたら時間がかかります。お相手を紹介しても同様です。
本当に将来を見据えてマネジメントをされた先生には我々がお手伝いをすることはほとんどありません。ご自身でそれなりの覚悟をし、友人知人などの意見を評価し、事業承継などの対策もじっくり行っています。
これからは、後継者はいませんとあまりにはっきり言われる50代、60代先生にはやはり注意が必要です。何となれば、それらの方たちは後継者を育てることができなかった先生方だということです。
自らの生活を中心に業務を考えておられ、将来的に業務を任せることができる職員を信頼することができなかった資格者・所長であったことがはっきりするわけです。信頼の絆はプッツンです。
これからは高齢の先生方の事務所経営は本当に難しくなるでしょう。創業者から息子や孫に実権が移ったとき、
税理士事務所の高齢の先生が支持されるかどうか、若手の先生を雇っていれば、、と後悔することも!?
事業承継支援室長
大滝二三男