承継の話が進み、顧問先の経営状態をお尋ねしますが、ほとんどの先生がこの先も大丈夫ですとおっしゃいます。
何が大丈夫かといえば、顧問先の企業経営は大丈夫というより、顧問契約は大丈夫というのがその答え。
本当のところ、数字を扱っている先生に対して、経営は大丈夫でしょうかと聞いているにもかかわらず、自分の立場としては顧問契約は大丈夫との答え。
禅問答のようだが、譲ろうとする先生には経営に対する危機感はありません。とにかく無事に引き渡せるのであれば問題がないわけで、答えは大丈夫。
引き受けるほうは、どこが大丈夫なのか、疑心暗鬼になります。それでも、情報交換しているうちに、実態が把握できますから、問題はないのですが。
譲るほうは価値を高く、受けるほうは安く。これは商売の前提です。
評価はお客様が決めるのですが、会計事務所との顧問契約は合取引ですから、客観的な判断基準があるわけではありません。
サービスが悪ければ、高い顧問料は払わないでしょうし、たとえ良いサービスを提供していても、その評価が適正になさなければ、顧問料は安いでしょう。
そんな事務所の承継ですから、顧問先の知ったことではありません。承継した事務所と顧問先が相性が悪ければ、契約はきられるでしょうし、その逆も。
所長先生の人望で顧客を維持していたわけですから、その承継には先生のお力を十分発揮していただかないと、引き継ぐ先生も大変です。いかがですか。
事業承継支援室長
大滝二三男