ある業種に特化した定期刊行物を出版物、同時に同業種企業を組織化。
全国的な経営研究会を組織することで、厳しい環境下にある出版を維持。
自ら編集長、業種研究会の主宰者として、20年間を走り切った。
年齢はまだ60歳だが、数年前に東京から北陸の地に移住。
東京での仕事は、月に数日。本社の業務は息子の副社長が統括。
自らは編集長として全国を走り回っていたが、それも若い社員に交代。
60歳で第一線を引くことには、社内からも不満が出ていたようだ。
しかし、出版は新鮮な感覚が必要であり、還暦で第一線から撤退を決意。
30代前半の息子さんに経営を任せることに、確かに不安はあった。
もちろん、息子さんに手渡すことで、社業が立ち行かなくなっては論外。
そこは少々不安でも、考えるのは休むに似たりで、まずは一歩前へ。
自ら創業した企業から身を引くことの難しさは、支援室で多く見てきた。
利益が出ず、借金で首が回らなくなっての退陣するのは、仕方がない。
しかし、資金面を含め、経営が順調なときに退陣を決意するのは難しい。
しかも、年齢的にはまだこれからという60歳、あとの数十年はどうする?
今回の引退劇にも、実は顧問税理士が社長をバックアップ。
副社長の経営に関しても深く理解し、社長との橋渡役も演じた。
そう、経営を見ている税理士の役割として、良くある話でもある。
最も相談に乗る先生方が年上で、ひょっとして後継者がいないかも。
しかし、今回の引退劇の相談役の先生は、既に対策終了。
実に後継者のいない先生からは、恨ましがられる税理士さんでもある。
事業承継支援室長
大滝二三男