同じ言葉がでますか。言えませんよね。そんな歳になってしまったんですね。何の恥じらいもなく、この言葉が言えるのはまさに”若さ”でしょう。
わが業界では、税理士会や同じシステムを使っている”仲間”でも、真の意味で「仲間」と言える人は少ないはずです。しかもそれは同じ顧客を奪い合う弱肉強食の世界に住む、自分の息の根を止めるかも知れない”仲間”。
仲間との切磋琢磨なんて言う人はもちろんいません。仲間という言葉が一番似合うことがないのが、士族かも知れません。でも、今や、仲間でなくとも、たった一人で判断を下すことができるほど簡単な時代ではないようです。
本日も70歳の先生にお会いしました。先生は「もう、難しい改正にはとってもついていけません。お客さんに十分な説明もできなくなりつつあります。申し訳ないことです」と、税理士をお辞めになる決心ができたといいます。
いい「仲間」、先生のお考えを十分理解し、先生の歴史も分かったうえで、事業を承継していただけるまさに真に「仲間」はいないし、自分だけがいい「仲間」だと思っていたことを知らされるのも考えたくないという。
未来がないところに「仲間」の存在は必要ないのかもしれません。これまで自分が生き抜いてきたことに「仲間」の存在をアッピールする人はほとんどいませんね。成功は自分が頑張ったからに過ぎないと思うのが普通のようです。
でも、これからの20年間の税理士業界はパートナーなしでは、事務所経営は成り立って行かないような気がします。若者にも税法以外にも顧問先の疑問にいつでも答えることができるには、やはり、組織の応援が必要でしょう。
この意味での組織とは、税理士法人だけを指しさしているものではありません。自ら知らないことを、”堂々”聞くことができる人がいる。そのことを含めた組織の時代ではないでしょうか。
もちろん、先生だけでなく、税理士事務所の職員の方々にも今や一人で仕事をする時代ではなく、同僚というか、仲間とともに仕事をせざるを得ない時にきています。試験勉強だって一人より、「仲間」がいたほうが合格率も高いはず。
そんな時代の事業承継は引き受けることができるのは、どうしても税理士法人という組織が主流になります。お客だけ譲って、先生がノンビリできると考えるのはアウト。あたらしい「仲間」に承継できるまで、先生の仕事は続きます。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。