事務所が成長するための効果的な方法はどんなものがあるのでしょうか?某税理士法人の代表が地方の先生からの要請である業種団体のセミナー講師を務められてそうです。そこで依頼主であるその業種団体の会長さんに「なぜ、あの先生に顧問をお願いしているのですか?」と尋ねると、その答えは「あの先生の事務所はいつ行っても、職員が『いらっしゃいませ』と大きな声で挨拶をしてくれるので、気分が良いんですよ」
「単純にそれだけですか?」。その答えも「ハイ、それ以外、特別に考えたことはないですね」それを聞いた代表は事務所に帰ると直ちに職員全員を前に「今年の目標として、大きな声で挨拶をすること、朝礼の際にも大きな声で挨拶をすること、『おはようございます』『いらっしゃいませ』『ありがとうございました』職員同士でも腹の底から声を出し、挨拶をすること、とする」と宣言されたそうです。
他の会計事務所と差別化することも大事ですが、まず事務所を訪れた方が良い気分で帰っていただくこと、そのための第一歩が明るい声での挨拶だというのです。今や新規企業が増えない状況の中で、顧問先を増やすことに妙案があるわけでもありません。当たり前のことを当たり前に行うことから始めるのが一番だというのが第一の気づきでした。それ以来、挨拶は顧問先に行っても明るく、はっきりと行う癖がつきつつあるといいます。
会計を職業としている人は、営業マンと違って人付き合いが苦手な人が多い、なんて昔からいわれていますが、そこに安住していては顧問先が増えないのは当たり前。顧問先さんでも、「今度の会計事務所の担当さんは明るく挨拶されるので、こんなご時世だけにちょっとした慰めにもなるよね。今度友人の社長にも紹介することにしますよ」なんてことになれば良いのですが、今はまだはっきりとした影響はでていないそうですが、きっと近いうちに??
そうなんですよね。事務所の職員が営業してきたなんて、会計事務所の場合、あまり聞きません。営業は所長である税理士の役目。所長が営業してこなければ、その事務所は拡大もしなければ、業績もさっぱりになってしまいます。こんな時代はですから、顧問先が減ることがあっても増えることはないでしょうね。でも、職員がこのような対応をしていけば、お客は単純です。気分が良いから、紹介しようとなること必定。
そんなことをする必要もなければ、業績を伸ばすことももう限界。所長としても経営に疲れてきたとお考えの先生、どうか職員を元気づけるための施策をお考えください。職員だって年功序列に慣れきった人がほとんどですから、給料が上がらない。上がらないから仕事もそこそこに。なんて考えていられてはたまったものではありません。一緒に業界から退場しますか?それにもやっぱり勇気が必要ですよね。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。