当支援室では、年二回の事業承継セミナーのDMの際、引き受け手登録を呼び掛けるチラシを同封している。
毎回のように登録する税理士・税理士法人もあるが、その理由を聞く欄には、概ね事業拡大のためとある。
なぜ、事業拡大するのかは具体的には書いてないのがほとんどだが、中には後継者のためとあるものも。
そこで、後継者のためと書かれた登録者に連絡すると、その多くが後継者=所長の子弟であることを知る。
自分の代で拡大のための営業は活発にせず、同時に顧問先は経営者の高齢化で廃業などが出てくる。
言ってみれば、顧問先の自然減状態が続き、放置すれば、子弟が引き継ぐ時は若い世代が少数派になる。
後継者が営業は不得手なら、事務所の縮小化は避けられず、これに危機感を感ずる親は、次の一手を探す。
もちろん、業界の中でそれなりの実績を残し、拡大できる体制がなければ、承継候補に手を上げられない。
子弟は資格はあるもののまだ修行中で、元気で第一線で活躍している事務所のオーナーは子の将来を思う。
放っておけば枯れていく事務所を見たくもないし、そんな状態の事務所を子供に渡したくないと考える。
知人や同じ支部で高齢を理由に引退を口にしている同業者がいれば、それとなく、承継候補をにおわす。
しかし、同じ支部内で″話題″を提供すると、同業者の反感を買うことにもなりかねないので、慎重にうごく。
そんな状況にある税理士がDMのチラシに応え、当支援室に引き受け手として、子供のための拡大を訴える。
事業に成功し、元気で、譲り手の思いを理解できる税理士を承継候補者としない理由は、どこにもない。
それが我が子のためであっても、譲り手が納得すれば、当支援室は粛々と仲介業務を進めます。
自らの事業承継のために、後継者のいない事務所を引き受けるのも、奥の一手としてありでしょう。
事業承継・M&A支援室長大滝二三男
子供のため事業の安定を図る税理士にとって、事業承継は奥の手か?
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