事業承継の際、税理士事務所の評価に当たって、相続税の大増税前までは、相続の売上は算入しなかった。
というのも、当時は相続の申告の売上は、普通はスポットで年に1回あるかどうかという状態だった。
なお、事務所の評価は、顧問契約している顧客の売上1年分と確定申告の手数料収入などを総合して決める。
もちろん、人件費などの経費が通常より多い場合には、その理由を確かめ、調整することもある。
その時に、相続案件の手数料が入っても、次の年に同じ売上があるとは読めないので、評価はしなかった。
しかし、大増税後は、殆どの事務所で相続案件を扱うようなり、毎年数件こなし、売上も計上できている。
こうなると、相続をこなしていない事務所は評価は下がるが、引き継ぐ側には、未開拓分野が見えてくる。
それをもって、客観的な評価を上げられないので、引き受け側は良い事務所を承継したことになる。
ちなみに、相続事案を専門とする税理士法人などは、一般の個人事務所を承継したとは聞いたことがない。
独自の営業により、一般の先生が扱わない困難事案や規模の大きな相続を扱い、差別化は進んでいる。
しかし、今後は規模は小さいが、相続に強い事務所にM&Aなどの手が伸びることはあるだろう。
顧問先というプラットフォームが多くなれば、相続事案も増えるから、そこも承継のキーポイントになる。
事業承継・M&A支援室長 大滝二三男
数年前までは相続の売り上げは計算に入れなかったが、、
投稿日: