数十年間、一人税理士事務所を続けてきた先生が、引退を前提に知り合いの先生と法人を作ることにした。
相手の事務所には若手の税理士がいるので、近い将来自分が辞めても、顧客には迷惑を掛けないと決断。
知り合いと言っても、支部の会合で話す程度の付き合いだったので、まず相手の職員と事前に面談を実施。
それで、事務所の雰囲気や相手の先生の″支配ぶり″を垣間見ることで、所内融和の道を探ることができた。
話がまとまり、数ヵ月後に相手の事務所に移るため、机や機器など配置図を作るよう先生が依頼された。
そこで、双方の職員がお見合いをする形で机を置くと、相手の先生は背中合わせを主張。
職員がテレビを観ながら食事が取れるなど、会議室は多目的に使えるように、新たなテーブル配置を想定。
これには、昼食はこれまで同様、机で食べれば良いという理由で、会議室の改良案は拒否された。
これには、パソコンがある机で飲食は禁止するのは常識と思っていた先生は、先行き不安を感じ始めた。
そこに来て、将来的に事務所を引き継ぐ相手の若い税理士が、規模が倍なる事務所運営に危惧を表明。
若者の将来のためとも考えていた先生、事務所の模様替えに異論を挟んだのは、拒否の現れだったと判断。
結果として、統合話は解消。相対で経営統合を成功させるための、自己主張の抑制が足りなかった結果だ。
また、中途半端な気持ちで話をしていたら、まとまるものもまとまらない。言いにくいこと言う人が必要。
もちろん、相対で上手く引き継ぐ例はいくらでもあるのだから、必ずしも第三者が必要とは限らない。
しかし、交渉のため貴重な時間を費やすことを考えたら、仲介者が上手く交通整理をさせた方が懸命だ。
我田引水の内容になりましたが、失敗例を聞いたときには、そう思うのは商売柄でしょうね。
事業承継・M&A支援室長大滝二三男
机の配置だけでも、不信感が生まれ、統合計画が破綻?!
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