税理士法人の社員税理士は、いわば株式会社の役員、それも社長、副社長。
経営者の一員で、経営の責任の一端を背負う、税理士法人の顔でもある。
しかし、オーナー型の税理士法人では、社員税理士と言えども、一役員に過ぎない。
言ってみれば、専務執行役員と言えばいいのだろうか。
専務であれば、定年を迎えれば、お役御免とおさらばできる。
社員税理士も、同様に思っている税理士も少なくない。
それが代表社員税理士となると、経営の全責任を取らなければならない立場。
社員税理士として、名前だけだと勘違いしていた税理士が、代表になることとなった。
というのも、オーナーが数年後に引退し、税理士法人と縁を切ると宣言をしていたから。
ところが、まさかオーナーが本気で引退するとは考えてもいない代表社員は、大慌て。
その慌て振りは、職員が見ても分かるほど。
オーナーがバトンタッチを告げると、「私はその器ではありません、辞めさせてもらいます」
そうは言われたオーナーは、しばらく様子を見ようと、楽観視。
ところが、その代表社員、オーナーから話を聞いた2か月後には退職してしまった。
それも後任の社員税理士が決まらない時点で、退職宣言し、引き継ぎもしないまま。
経営者として能力はないというものの、この事態をみれば、経営者失格ではなく人間資格。
いまや、税理士法人の事業承継も始まっているが、こんなひどい事例が多くなるのかも。
やはり、経営者としての教育が、税理士にも必要な時期になっているかも知れない。
そんな感じを思わせる今回の事例でした。
なお、明日のブログはお休みします。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男