40数年前に事務所開業以来、主に実務を担当したのは、所長の甥っ子。
創業所長が20年前に引退し、現在の所長は創業所長の国税の後輩で、承継を断りきれなかった。
二代目として血気盛んで、引き継ぎ後、事務所拡大を図るなんて、これぽっちも考えなかった。
事務所に入ってみると、実務は創業者の甥が取り仕切り、新所長が立ち入る余地はなかった。
収入のほとんどが、職員の給与と事務所の賃貸料や様々な経費で飛んでいき、残るのは数百万円。
古希も過ぎ、夫婦二人年金でつましいながら、のんびりと過ごしたいとの思いも強くなった。
奥さんも自分の思い通りにならない日々を過ごし、もう十分尽くしたと廃業に背中を押す。
そんな相談を受け、早速対応した結果、事務所を閉鎖し、職員も全員退職。
引き継ぎ業務が終了するまでは、業務の中心になっている職員は責任は果たすと約束。
所長も顧問先に問題が出た時に対応できるように、しばらくは引き継ぎ手の顧問に就任。
今回の案件では、三者一両得という結果に落ち着いたが、これは引退する所長のお人柄による。
誰かが自己主張を控えることで、話がうまく運ぶものだが、今回はすんなり、全員が大人の対応。
何時でも、こんな案件ばかりだと、仲介者は楽なんですがね!
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男