税理士が辞める決意を躊躇する大きな理由のひとつが、職員の転職問題。
特に会計事務所しか勤務したことがない中高年に、はたして転職先はあるのだろうか?
もし、転職できなければ、事務所閉鎖と同時に、生活の糧を失うことになる。
職員の家族を思うと、何としても生活が維持できる職場を探してあげたい。
経理担当者を探している顧問先があれば、それこそ、いの一番に交渉。
税理士事務所に経理担当者を求めるケースは、それほど多くないので、それほど期待はできない。
若い女性職員であれば、所長が再就職先を探さなくても、業種を問わなければ、再就職は確実。
そう、比較的給与の高い中高年には、新たな職場はなかなか見つからない。
自分が担当している顧問先に自ら交渉し、経理担当者として転職した強者も中にはいる。
過去に友人の会社に経理部長として退職した番頭格の職員は、実は他の事務所に転職。
かつて担当していた顧問先が、次々に契約解除の連絡が入り、後ろ足で砂を掛けられたことも。
しかし、このような不届き者は別格として、自分で再就職を同業者に求めるのは、困難そのもの。
そういったことが大きな要因となって、税理士法人との経営統合を受け入れる所長が増えている。
法人の支店になれば、内部業務担当者もそのまま移籍し、無事生活の糧を維持できるわけだ。
所長も社員税理士に就任し、税理士として業界に生き残り続けることになる。
AIの発達でなくなると言われる経理業務だが、税務は生き残る。
今の中高年の職員は、その発展段階を体で実感している年代だと、歴史が証明するのでは?
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男