これは、40歳代中盤の税理士の成長の要因です。
事務所は、県庁所在地でも中心街から外れた地域で、同業者も少ない所。
税理士会の会員の交流も活発ではないが、会員同士は地域密着型で親密。
開業間もないということで、会活動には積極的に参加してきた。
そのうち、高齢の先生方とも親交を深め、何かと声を掛けられようになった。
全国どこでも税理士の高齢化は顕著で、開業する若手も少ない。
それだけに行事がある度に、゛仕事゛を任されることが頻繁になったという。
そんな時には、嫌な顔をひとつせずに、喜んで協力するようにもした。
その甲斐あってか、引退を考えていた先生から、引き継ぎを要請された。
それには一も二もなく、直ちに「はい」と答え、一人の職員も雇用した。
それが開業二年目の始めで、何とその数ヵ月後に二人目の要請が来た。
どうやら数ヵ月前の先生から、対応ぶりを聞いて来たと言う。
その実績が認められたからこその引き継ぎ要請だったのだ。
税理士一人でスタートした事務所も開業3年目で、3人体制に成長。
自宅兼事務所から賃貸マンションに移転。
事業承継には、二人の先生にお礼程度の金員を支払った程度で済んだ。
こんな事例は、同業者が多い大都会では早々ある話ではない。
地方都市で、同業者の顔が見えているからこその承継劇かもしれない。
言って見れば、残存者利益、生き残ったものが最終利益を手にする。
華々しい急成長は見られないが、じっくり仕事をするにはいい方法かも。
地域密着型、これも税理士事務所の生き残り方法にひとつ。
事業承継支援室長
大滝二三男