税理士さんの確定申告書・青色決算書を、この12年間で300件以上診てきました。
この中で、かろうじて数十万円の所得を計上した決算書が一件ありましたが、これが最低。
この事務所の場合、所長が病気がちで、顧問先は職員任せで、一億以上あった売上は半分に。
しかし、売上減少に伴う、所長主導の職員削減などのコストカットは、一切行わなかった。
そのため、自己都合で事務所を去った職員は数人で、承継時に10人が在籍。
顧問料は給料で消えていき、賞与は所長の預金から充当することが、当たり前。
生活費は、なんと顧問料から源泉徴収され、毎年確定申告後に還付される税金。
それでも、事務所を手離そうとの踏ん切りがつかず、病が重くなり、長期入院が背中を押した。
実際、病で事務所経営を諦める税理士はいるが、赤字を理由に事務所を閉じる人はいない。
もっとも、新規開業の若手税理士が、顧問先を獲得できず、やむなく閉鎖することはある。
このような事務所は、事業承継の対象にはならないので、確定申告書は診ることはない。
そう、私が診る確定申告書は承継の対象者だけ。だから、税理士の赤字申告を診ることはない。
現金商売の税理士に、現金が入らなくなれば、辞めるしかありませんから。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男