たわけ者の語源は、田んぼを分けてしまい、代々継がれてきた財産を失った人を言う。
頼りになる人は、失った田んぼを引き戻し、田寄りした人とか。
相続では、相続人たちが相続権を主張し、財産の所有権は相続人に分けられる。
一度所有権が移る″田分け″と、元には戻らないのは常識。
所有権を移さず、発生する収益だけを所有権者以外に渡すことができるのが、今流行りの信託。
収益だけを移すわけで、所有権は移動しないから、何時でも収益をもらう人は代えられる。
まさに、たわけ者にはならずに済むことになるので、ご先祖様に″怒られる″こともない。
この信託が、事業承継でも威力が発揮される。
それも株が様々な人に分散されて、方針が決めれない、決議ができないときに有効。
つまり、株の所有権は移さず、配当も手にすることが代わらず、議決権だけを移す。
こうなれば、株式会社の方向は、CEOが自由に舵取りができることになる。
同時に株は所有しているので、経営責任者が意に沿わなければ、委託者を代えることもできる。
いわば、資本と経営の分離がスムーズに行われ、盗った、盗られたの話はなくなる。
不動産、金銭、株など様々な対応が可能な信託を武器に、税理士は顧問先へのサービスは拡大。
会計業務は採算が取れなくなると言われる中で、新な武器になるのが、信託だと思われる。
まだまだ、全貌が明らかにならないこの信託、税理士が取り組むべき重要課題だ。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男