数年前の相続税の大増税を契機に、相続税シフトが起きている。
首都圏の税理士事務所で相続が出来なければ、顧問先の信頼が得られないほどだ。
こんな状況で相続専門の税理士法人も次々に誕生し、その代表も相続専門の法人出身。
中には、相続専門の法人の一部門ごと法人から離脱し、新たな法人が誕生。
多くの法人が金融機関と提携し、業務を拡大。さらに地方都市にも進出。
相続事案に縁が少なかった地方都市の税理士でも、厄介な業務をやらざるを得なくなった。
そんな税理士が頼りにしていたのが、大増税以前から相続専門の税理士法人。
相続案件に伴うリスクを避けるため、相続不得手な税理士は専門家に依頼。
依頼主には案件紹介料を支払い、一から申告書作成、さらに不動産等の処分も担当者。
最近の例では、印鑑証明書付きで依頼を受ければ、戸籍謄本の取得などもこなす。
さらに、金融機関と連携し金融資産など財産債務なども調べ上げ、完璧を期す。
なかでも、戸籍謄本を取得するのは、相続人が担当するのが普通。
相続人がサラリーマンの場合、有給休暇を使って謄本を取ったりするのは大変。
これが相続のスタートだから、時間がかかれば、処理も遅れることになる。
単純な作業だが、財産債務の全貌を把握するためのこれらの前段階を下請けに出そうという。
それにより、自社では複雑な業務に特化して、生産効率を上げる目論見。
はたして、このような業務をほどよいスピードでこなせる下請けはあるのだろうか?
相続大増税が産み出した新たな業務だが、下請け化は成功するのか?
事業承継M&A支援室長
大滝二三男