税理士事務所の事業承継で、税理士所有の建物を賃借するケースがある。
多くの場合、引退する税理士はリフォームなども考えていない。
ところが、何らかの理由で承継者がリフォームを希望することもある。
その一例で、承継者が費用を負担することを条件に、リフォームを許可。
承継日を前に、リフォームのための見積もりを業者に依頼。
その業者も承継する顧問先という、承継者、引退者ともに信頼を置く。
見積りは1週間ほどで届いたが、その説明に驚く。
壁や仕切りを壊し、部屋を広く使おうとしたのだが、そこが問題。
なんと、その事務所は40数年前に作られたマンションの一室。
同時期、その地域のマンション建設には、アスベストが使われていたという。
アスベストが剥き出しではないので、調査には壁を壊す必要がある。
はっきりとアスベストがあると分かれば、事務所を使うわけにはいかない。
アスベストを完全に除去するためには、費用も通常リフォーム代の5倍以上。
なんと2000万円以上出してまで、リフォームをする必要はないと判断。
これまで通りの事務所で、しばらく業務を継続。
一部でもアスベストが出てくるようであれば、即引っ越しすることに。
これまで、このようなリスクがある事務所に遭遇しなかった。
そのため、事務所が変わらず、職員が代わらず、承継はスムーズだった。
しかし、これからは古い建物の事務所には、確認が必要になってきた。
事業承継M&A支援室長
大滝二三男