以前にも会計事務所の事業承継で、譲り手が受け取る対価を国税当局は、「雑所得」と認定しています。
これは昭和47年、広島国税局から国税庁に寄せられた質問に答えたものが、いまだに生きているのです。
その判定の根拠は、税理士、弁護士、医師などの士業は一身専属で、営業権はないという解釈からです。
ところで本当に営業権はないのでしょうか?
昭和47年当時の会計事務所の事業承継を考えるてみます。
高度経済成長の中で、新規企業などが雨後の筍のように、毎日のように起業されていました。
税理士の業務は、現在のように経営にまでコンサルをする必要はなく、ただ税務を見ていればいい状態。
もちろん中には、経営を見て散る税理士さんもいましたが、ほとんどが税務申告がメイン業務。
企業側も会計・税務を見てもらう先生として、税務申告時期くらいしか、重視しない傾向もあったようだ。
そん中で高齢を理由に事務所を畳む税理士さんは、ただ単に顧問先を譲る、つまり紹介するだけだった。
現在は職員も引き受け、事務所の備品、たとえば会計ソフト、会計専用機などのリース契約を引き受ける。
お客さんだけを引き受けて、つまり紹介されて、自分流の対応をしていく受け手などはほとんどない。
譲り手側の業務の流れを引き受け、職員もそのまま、会計ソフトもそのままに、事務所もそのまま。
つまり、税理士事務所の事業全体を承継するわけで、決して顧客を紹介されて終わりではない。
なかには、経営権をすべて譲って、税理士法人の社員として勤務する先生も多くなっている。
このように見てくると、「顧問先の紹介であるから、その手数料は紹介料の授受で雑所得」には疑問が。
昭和47年の国税庁の回答からいまだに一歩も出ない国税当局の判断に、疑問を呈する先生も多い。
弊社にも質問がくるが、国税当局の判断は当時のものしか出ていないので、「雑所得」としか回答不能。
どうか税理士さん、、国税当局に専門家として“ご意見”を。議論が深まることを期待します。
なぜに営業譲渡としての判断ができないのだろうか?素人でも疑問です。
事業承継支援室長
大滝二三男