税理士業界で、開業が年々難しくなっているのは、誰もが知っていること。
個人事務所が提供できるサービスには、限界がはっきりしている。
起業が盛んな時は、記帳代行・税務申告だけで商売ができた。
毎月の顧問料は、記帳代行の対価と言えたのだが、これからは違う。
クラウド経理ができる今、顧問料ビジネスも変わらざるを得ない。
それでも、個人事務所として独立する採算のめどはたつのか。
自分の身近な人の税務をについて、満足されるサービスを提供する。
それだけで、事務所を維持できる訳ではない。
今後5年で、記帳代行を主たる業務にする事務所はなくなるだろう。
ただ、所長・税理士一人で業務ができる事務所は残る。
その一方、従業員を数名抱える事務所は、経営は厳しくなる。
そんななかで独立するのは、どんな展望を持っているのだろうか?
法人のなかで、組織の一員として、税理士資格を活かす道はないのか。
しかし、独立しても飯が食えなければ、実に勿体ない話ではないか。
離職した税理士の復帰を評価する組織は、まだまだ少ない。
欧米流の転職に対する考え方の違いだが、日本では遅れている。
「辞めた奴が戻ってきた!」と、メンバーは後ろ指を指すのが普通。
だから、独立するからには、旧事務所から完全な決別が要求される。
スタープレイヤーが出にくい業種だが、それでも独立は続く。
やはり、税理士資格がそうさせるのかもしれない。
でも、出戻りで大活躍する税理士の話を、今後は聞きたいと思う。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男