後継者のいない税理士にとって、事業承継は常に頭の中にある。
若手の税理士を採用するにしても、はたして経営者として適格か不安。
もしも、不適格であることが、承継時に分かったらどうなるのか?
さらに、職員たちが新所長として認めない事態は、生じないのか?
所長の血縁関係者が候補であれば、概ね職員は認めざるを得ない。
しかし、全くの他人が後任となれば、日頃の業務で反発もする。
ベテラン職員であれば、陰湿ないじめをすることもあるだろう。
そんな状態を招きたくないから、後継候補の税理士は雇わない。
何と後ろ向きの対応ではないだろうか、と言ってもしょうがない。
後継候補を採用する時点で、以上の問題を解決しておく必要がある。
これらの問題を解決するのは、経営コンサルタントの仕事だろう。
しかし、これらの悩みを打ち明けられることもある。
それもご自身で、後継者を雇わないという答えを出していながらである。
事務所内に゛先生゛が二人いるのが、煩わしい。自分一人で良いのだ。
だから、事業承継問題は必要に迫られなければ、対応しないわけ。
それでも、数年後のことは気になる。そこでまずは話を聞こうとなる。
つい最近も3年ぶり、4年ぶりに会った先生から、承継者探しを依頼された。
その際同様に言われたのが、もっと早くお願いすればよかったとのこと。
判断を先伸ばしにしてしまったので、所内が混乱したという。
というのも、所長が体調を崩したりして、ベテラン勢が不安を煽ったという。
ベテランにしてみれば、所長から話がないので、不安は拡大する一方。
それを知った所長が、数年前から決めていた事業承継に舵を切った。
腹を割って職員と話をし、彼らの了解をとってからの相手探しスタート。
相談を受けて直ちに候補者を提示、何とその場で「お任せします!」
実際これはレアケースで、数年前の相談があってこその速攻劇。
そうかと言えば、現状の自らの仕事を披歴し、10数年後を見通せと言う。
それも、業界人としては大胆な経営をしている先生からの相談。
この先十数年の先生の動きを考えてくれと言うのだから、即答はできない。
取り合えず勉強させてほしいと答えたが、実に光栄に感じた次第。
この難しい問題にはたして適切な回答ができるかどうか、不安もある。
しかし、浮かれてはいられない。50代の先生の心の叫びに応えなければ!
これまたレアケース、日々心新たにさせられる環境に感謝、感謝!
今後も、このような事業承継に絡んだ、長期的な経営相談も増えるかも。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男