およそ10年前、88才(当日)の先生から相談を受けました。
60才を迎えようとしている女性職員が辞めるというので、事務所を閉めたい。
ついては、お寺や学校の経理がわかる税理士を紹介してほしいとのこと。
先生のお歳を考え、顧問先の詳しい状況を訊いた。
「心配することはないよ、すでに2代目、3代目になっているから」
そう、先生との長い付き合いで、顧問先も枯れてきていると考えたのだ。
しかし、先生の言葉通り、顧問先の経営者は、先生の子供よりも若かった。
経営者の交代を先生が指導し、ほとんどの顧問先を若返りさせたという。
そのきっかけになったのが、一人息子さんに先立たれたこと。
資格はとれず、他の業界でサラリーマンを活躍していた息子さん、
父親の歳を気にしながらも、資格がとれなかったことを悔いていた。
といっても、どうにもならず、そんな息子さんを不憫に思っていた。
そんな思いで顧問先をみると、後継者がいる社長も椅子を譲ろうとしない。
先生の立場から見ると、社長として十分活躍できる息子さんがいる。
それでも、親父さん・社長は、息子を社長にするには経験不足だと言う。
しかし、組織の若返りを訴え続けたら先生の考えも、次第に受け入れられた。
結果として、顧問先は18社と数こそ少なかったが、皆黒字企業。
そのうち、後継者がいた15社は、先生の指導で、社長交代、若返った。
そう、先生の言う通り、引き受け手も社長の高齢化を心配せず。
その後5年経過した時点でも、1社だけが清算、残りは全社が元気だった。
こんな事例は、後継者不足に悩む中小企業には考えられないこと。
顧問先の社長が引退すると、顧問先が減る、いやアドバイス次第ですね。
今は亡きこの先生の事例をお話しすることで、少しでも参考になれば、、、
事業承継支援室長
大滝二三男