米国の公認会計士が久しぶりに帰国し、お母上の3回忌の法要を行いました。齢60になる彼は日本に帰ることを念頭に現在、ロサンゼルスの会計事務所を売りに出しています。
売りに出すといっても、バブルがはじけるまでは日本から進出してきた日本企業やその駐在員を相手にしていましたから、今となっては成長の目はほとんどないそうです。
そのため、メキシカンや他のアジア人のお客さんを獲得しようとしていますが、やはり人種の壁は厚く、たとえばメキシコ人はメキシカンに、中国人は中国人の会計事務所に行ってしまいます。
日本企業が年々少なくなり、日本人相手のレストランなども青息吐息のところも少なくないようです。リトル東京のお店もほとんどが韓国人の経営になってしまったといいます。
そんな中で日本人相手の会計事務所を買おうという人はほとんどなく、一時期米国CPA資格取得のために大挙して訪米していた若者たちも、ロスの日本人経営のCPA事務所にも今は少なくなっているそうだ。
やはり、言葉の壁もあり、日本人が米国で専門家として成功するには相当の努力と幸運に恵まれる必要があるようだ。そんななかで30年近く米国CPAの事務所を経営した来た友人が歳とともに里心がつき、共同経営者を探したりしていたがそれも断念。
アメリカでは会計事務所のM&Aは日常茶飯事。現在、カリフォルニアEA協会の会長をしているキム・カッスル女史もIRS(内国際入庁)の徴税職員を辞めてEAとなり、すでに2つの事務所を買収しているほど。
それでも、CPA事務所の売買は現地の経済状況が日本以上に悪いということあって、なかなか良い条件で交渉が成立しないといいます。これを日本に当てはめると、まさに会計事務所のM&Aも一時期より譲渡価格が下がる傾向にあります。
もちろん、お客様が減って、顧問料収入が減ってきていますのでこれは納得しなければいけませんが、良い時を知っている先生方にはやはり我慢ができないことかも知れません。総理大臣も選挙で勝ったことですから、経済を良くすることを祈るばかりです。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。