自分流が徹底しているのが、税理士一人の事務所。
職員も、自分のお眼鏡に叶った人しか採用しない。
さらに、指示された仕事に、職員がモタモタしていると、雷を落とす。
「なんで、そんなことができないんだ。もういい、私がやる!」
そう、じっくり仕事ができるようになるまで待てない、そんな先生。
実は40年近く前に、私もこの経験があったことに気づきました。
怒る側ではなく、怒られる゛生徒゛の立場でした。
それは自動車教習所でのこと、路上教習に進んだ時でした。
制限速度20キロの曲がりくねった道路をちょっぴりスピードオーバー。
曲がりきれずに電柱にぶつかりそうになり、教習員が急ブレーキ!
その時に出てきた大声が、「なんでできないんだよ!」
これには生徒の私も「できないから、教わり来てんだろう!」と返答。
教習時間はたっぷりあるにも関わらず、教習員は教習所帰るよう指示。
帰り着くと、さらに2時間分の教習が必要と教習記録をつけ、下車。
30才で車の免許を取り、今では毎週車に乗り、30万キロ近くを走破。
そんな私でも、あの時の「なんでできないんだ!」の一言が未だに耳に残る。
図太い(?)私でもそうなのだから、税理士事務所に勤務する若者は?
学校ではないのだから、怒ることはないだろうと考えるかもしれない。
でも、怒られても何とか期待に応える努力できる人は、残れるだろう。
しかし、「俺がやるからもういい!」と言われてしまうと、居場所もなくなる。
当然、先生もそんなつもりではないのだろうが、仕事を取り上げてしまう。
確かに自分でやってしまった方が、早いに違いがない。
こうなると、できないやつに給料を払うのも、癪の種にもなる。
所長の気持ちも態度に出てくるから、職員は「辞めさせていただきます!」
その繰り返し、だから所長の代わりになる職員を育てることは、不可能になる。
先生は自分でも性格が分かり、手伝い程度の人しか取らないことになる。
勤務税理士を雇おうとの気持ちになっても、行動に踏み出せない。
これが30年も続くと、いざ辞めようと考えたときには、代わる人はいない。
事業承継するか、それとも体の続く限り頑張り、枯れていくのかだ。
それが許されるのが、税理士事務所経営だが、これからの時代はどうだろう。
事業承継支援室長
大滝二三男