これまで、事業承継を相談された税理士の多くが、お金の話は二の次。
とにかく、お客さんと従業員に安心してもらいたいと言う。
先生の思いを繋げてもらえる承継者を探すのが、仲介者の役目。
その一方で、承継する税理士にしてみれば、対価が一番の問題。
それでも、顧客数や売り上げを訊くと、何とか話に乗ろうとする。
あまりの不相応に高額だと、予算に合わないと、腰が引けてしまう。
中には、年商の2年分で譲った知人がいるなど言う先生もいる。
これなどは、いわゆるオーバートークで、この10年、そんな実例はない。
ひょっとすると、他業種のM&Aの話をすり替えているのかもしれない。
もしくは、日本ではなく、アメリカのM&Aと勘違いしているのかも。
この時代に税理士事務所承継に、それほど高額の費用を出す同業者は皆無。
ちなみに、10年後には会計事務所はなくなると言われている。
だから、高額を言い張る譲り手には、はっきりとお断りをする。
仲介者が断りを入れると、ただ噂で聞いたので、言ったまでだと弁解する。
でも、希望金額はやはり、お金の話をしない先生より、かなり高目。
自分の仕事を安売りしたくないという気持ちは、当然のこと。
しかし、引き受け手には、果たしてすべての顧客を引き継げるのか、
その不安を、契約時に完全に払拭することは、不可能に近い。
したがって、どうしても引き継ぐ費用は安く抑えたいというのが本音。
高くしたい譲り手と安く引き受けたい人とに、交渉が始まる。
とはいえ、互いに希望金額を言い合うことは、これまで聞いたことがない。
その交渉役を務めるのが、仲介者であり、お金の話は双方お任せ。
両者の希望金額を訊き、妥協点を探っていくが、仲介者の評価も披露。
その時点で、おおむね両者が了解し、支払い方法の協議になる。
ほとんどのケースが分割払いだから、お金で話が中断することは少ない。
そう、両先生ともお金より、顧問先や職員が了解するするかどうか、
彼らが認めなければ、事業承継は上手くいかず、お金どころでなくなる。
それが分かっているから、両者が信頼関係を深めることに注力する。
両者の気持ちが一致すれば、話は早い。お金の話にも満足となる。
実際、両者から具体的な金額が強調されることは、ほとんどありません。
もちろん、皆無ではありませんが、交渉成立時にはノープロブレム。
交渉金額がいくらになるのか、それは契約当事者だけが知っています。
どれが結論ですし、弊支援室は守秘義務があり、金額はノーですね。
事業承継支援室長
大滝二三男