事業承継を仲介した事務所で、実際にあった話です。
給料は地方都市でしたので、それほど高くはありません。
しかし、米や野菜などは自給自足でき、食うには困りません。
集金は、訪問時に請求し、その場で受け取ることもあります。
地方都市の多く事務所が、自家用車通勤で、直帰することも少なくない。
翌朝、出勤したときに集金した報酬を入金することになります。
今回把握したのは、ある職員の未収金が増加傾向にあったこと。
そこで所長が、入金見込みを訊ねると、経営破綻が近いとの返事。
少しでも未収金を減らせと指示したものの、集金の予定がサッパリ無し。
そうこうしているうちに、担当者の未収金の額が400万円まで膨らんだ。
どれが一社ばかりではないので、いよいよ大変な事態だと所長は焦った。
担当者に再三注意をするが、答えは、資金繰りが悪化しているというばかり。
そこで、未収が多くなっている顧問先に所長が、直接交渉。
するとどうだ、顧問先の社長はとんでもない、毎月払っていると怒り出す。
答えに窮する所長は、謝りながらも、頭の中は真っ白。
事務所を経営して40年近く、これまでに一度として経験のない事態。
職員は真面目一方で、浮いた話も聞いたことがない、50代後半の男。
勤務歴も30年を超える大ベテラン、子供たちも独立し、生活は楽なはず。
事務所に帰った所長、担当者を所長室に呼び、事実を遂げた。
はじめは黙っていたベテラン職員も、実は女ができたことを白状。
その情勢を繋ぎ止めるために、顧問料に手を付けてしまったと言うのだ。
こうなると、職員として雇っておくわけにもいかず、即、懲戒免職。
退職金は中退金制度に入っていたため、これは直接本人に振り込まれる。
懲戒免職だから、退職金は没収、こちらは金融機関と交渉。
もちろん、本人の了解をとり、口座に振り込まれた時点で事務所に返還。
本人も200万円を支払い、合わせて400万円は無事入金された。
事態はここで終われば良いのだが、その後の話もある。
懲戒免職になった50代後半の大ベテランの顧問先から、契約解除が続く。
仕事言えば税務しかない男、浮き名を流しながらも他に事務所に移籍。
長い付き合いの顧問先にとって、勝手知った担当者は、やり易い。
しかも、全ての顧問先が懲戒免職の事実を知っているわけではなかった。
お客を盗られた所長は怒り心頭だが、挙げた手を下ろす先がなく。意気消沈。
実際こんな話があるすね。世の中様々ですね。
先生、あなたの事務所の職員は大丈夫ですか?
事業承継支援室長
大滝二三男