事業承継を仲介した事例で、税務以外はやらない事務所がほとんど。
企業のバックアップがある生命保険だけは扱う。
実際は、顧問先に営業を行うのは、生保会社の営業マン。
もちろん、税理士が同行することもあるが、紹介のみというのも多い。
生保を扱う税理士事務所の職員に対する規制もあり、今後は厳しくなる。
記帳代行と税務申告だけという事務所には、スポット収入が消える。
通常の顧問料プラス決算料収入だけに頼る事務所はどうなるのか?
地方都市では起業も少ないから、新しい顧問先は増えない。
しかもスマホで会計業務が出来るようになり、記帳代行も減少気味。
給料を安く抑えられる若い職員を確保するのも、厳しい状況。
収入は減るなかで、職員を雇用するコストは増える。
昔からの信頼関係で高い顧問料を請求できたのだが、これからは変わる。
厳しい経営環境の中で、高齢の先生が引退時期を迎える。
事業承継ができるところは良いが、コストの高い事務所は相手も考える。
中には給料の高い職員は採用したくないとも言う。
しかし、付加価値ビジネスを積極的な事務所は、とやかく言わない。
譲り受ける事務所が何もやっていなければ、経営環境は改善できる。
現に生保会社に任せ切りの事務所を引き受けて、大成功の事務所がある。
さらに相続や贈与、資産税関係をたの税理士に依頼する事務所も大歓迎!
さらに、さらに経営計画の指導などもやらない事務所も受け入れやすい。
過去会計、決算の説明だけ終わっている事務所が、ほとんど。
つまり、安いコストで営業対象の企業を手に入れることが出来る。
こつこつと一件一件顧問先を営業するロスを事業承継でカットできる。
良いことだらけだが、これもシステムは出来上がっている事務所だけ。
数年前、このシステムが十分機能している事務所を吸収した法人がある。
譲り受けた法人の方が、一人当たりの売り上げが少ないことが判明。
そこで、法人の役員会で、全員に営業を義務付ける方向を打ち出した。
その指導者役を買って出たのが、吸収された事務所の職員たち。
これまで同様にやっていれば良いので、教えることも簡単な作業。
おまけに職員同士の意見交換も盛んになり、士気も上がる結果となった。
事業承継でこのような好結果が出るのは、実際には少ない。
しかし、経営者と職員が同じベクトルで動けば、良い方向に向かう。
このような事務所でなければ、生き残りは難しいだろう。
記帳代行と税務だけの経営では、この先明るい未来は描けないだろう。
事業承継支援室長
大滝二三男