数十年培ってきた顧問先との信頼関係を断ち切るのは辛い。
しかも、起業時代から、融資などの手続きなども積極的に面倒もみた。
そんな顧問先も社会的認知も深まり、磐石の経営体質を築き上げた。
創業者も顧問税理士と同様齢を重ね、二代目経営者にバトンタッチ。
二代目は創業者の背中を見ながら、経営者への道を歩いてきた。
その歩みのなかで、会社の財務事情などの指導を顧問税理士に仰いだ。
もっとも、これも創業者との信頼関係があったからこそ。
そんな税理士も自らの事業承継を考えた時、相談者がいないことに気づく。
顧問先のバトンタッチに協力してきた税理士には、後継者がいない。
一般企業であれば経営者になれる資格は、具体的な条件は何も要らない。
これに対して税理士業務は、国家試験に受かる必要がある。
これが難しい。大学院で会計と法務の専修し、試験免除の道もある。
しかし、いずれの学科もそれぞれ1科目は試験をクリアし、合格が条件。
息子さんに試験を受けるように勧めても、父親の仕事を継ぐ気がない。
死ぬまで税理士を続けると宣言しても、お客が付いて来ないこともある。
こんな税理士の背中を押すのは、実は奥さんがもっとも多い。
奥さんが事業承継に積極的であれば、仲介業務もスムーズに進む。
承継候補者が決まり、両者面談となるが、ここに奥さんが再登場する。
当然、事前に奥さんが"了承"していることは確認済み。
候補者にしてみれば、税理士の奥さんが出てくれば、その本気度も分かる。
先生に条件提示をするというより、ご家族に認められるよう頑張る。
引き渡す先生にして見ると、出身地や学校なども判断材料のひとつとなる。
最近の事例では、引き渡す先生と引き受ける先生の出身高校が一緒だった。
年齢的には10歳以上先生が年上だけに、先生の気分は良い。
もっと強烈だったのが、引き渡す先生の奥さんと候補者が同じ高校出身。
こちらも奥さんの方が10歳以上年上だが、候補者の印象はグッド。
引き受ける先生として、"先輩"が決断を後押しする形が見える。
こちらも見事、奥さんが強力な援軍となり、事業承継は即断で決まった。
都会地の先生の多くが地方出身者だから、同じ高校出身者は大歓迎!
そう、引き渡す先生の奥さんが面談に出席されれば、意外な援軍に!
事業承継支援室長
大滝二三男