多くの職員を抱える税理士が、すべての顧問先の面倒を見ることはない。
というより、手に余るから職員を増やしていくわけだ。
当然、顧問先からの資料の受け取り、景況の把握などは担当の仕事。
日々の業務の中で、先生が顧問先と直接会うことはほとんどない。
とはいえ、年に一回の決算報告などで担当者と同行するのが普通。
しかし、規模が大きくなれば、決算報告も職員任せになる。
なかには、10数人の担当者から報告を聞くだけでは我慢しない先生も。
そう、すべての顧問先の総勘定元帳からチェックする先生もいる。
このような先生の事務所を引き継ぐのは、比較的簡単。
職員に申告書作成まで任せれば済んでしまう、これが普通の事務所。
このケース、職員と顧問先とのコミニュケーションはできている。
先生が職場を離れても、職員が残っていれば、引き継ぎはできる。
ところが、顧問先回りは先生が専ら行っている事務所は、大変。
事業承継の肝は、顧問先の引き継ぎだから、職員が残っても問題が残る。
すべての情報を持っている先生が、急死されたりしたら、それこそ大変。
職員は先生から手渡される資料を処理するだけだから、引き継ぎ情報は不足。
それを補うために、承継スタート時に顧問先回りに神経を使う。
気の聞かない担当者が事業承継の責任者になれば、業務は停滞する。
税理士が毎月社長と歓談し、資料も受け取っていた慣習がなくなる。
そこで、顧問先も税理士が来訪しないと、契約を打ち切る事態も生ずる。
譲り渡す先生が残っていれば、これも防げるのだが、、
高齢を理由に承継をする場合は、先生にひと頑張りお願いする。
それで、担当者と先生が綿密に連携をとり、顧問先の了解を取る。
それができれば、引き継ぎはそれほど難しくない。
これらの問題に対処できなければ、承継の資格なしというわけだ。
もっとも、何でも一人で処理しちゃう先生の事務所は多くありません。
それにそれほど規模も大きくありませんから、対応はできるでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男