昨日、高齢と思われる税理士さんから、相談がありました。
なんと、数名のベテラン職員が、゛持ち逃げ゛すると宣言したというのです!
もちろん、先生が苦労して獲得した顧問先を担当させたのが、始まり。
当初、先生は決算や申告に際して、担当者と顧問先に同行。
慣れるに連れて、担当者も独りでいくことを主張するようになった。
こうなるのが普通で、顧問先の社長も先生より対応も気楽に。
時が流れ、顧問契約も十数年もたつと、顧問先は担当者の独壇場。
先生も年齢を重ねるうちに、顧問先に行くことも億劫になる。
それを良いことに、担当者は顧問先を自分の物と考えるようになる。
こんな職員が休むと顧問先から電話があっても、誰も返事ができない。
ますます、顧問先と担当者の゛きづな゛は強くなる一方。
先生が顧問先の状況を尋ねても、通り一片の報告で終わる有り様。
そんな職員に対する対応はどうすべきかというのが、今回の相談。
実際、先生の死後、職員がお客と共に、他の事務所に移ったらどうなる?
税理士とは一身専属の資格、資格者が死ねば顧客との契約は切れる。
顧問契約は消滅するから、お客は誰のものでもない。
誰が取り込もうが、税理士法に違反するわけではない。
職員が担当していたお客と共に、新しい事務所に移っても問題なし!
でも、今現在高齢の先生の職員が、顧問先を持っていくことは違反。
それも現在の雇用主に、先生が死んだら云々、と広言するのはビックリする。
後継者に対する不満もあるのだろうが、それを止められないことが問題。
そう、先生と日頃のコミュニケーションができていない。
さらに、もう先生のブレーキが利かないほど、助長させてしまったのだろう。
゛持ち逃げ゛させない効果的な方策は、具体策はここでは書かない。
しかし、この゛持ち逃げ゛は、税理士事務所経営の永遠の課題です。
税理士会でもよくある相談でしょうが、なかなか妙案は見つかりません。
老先生の気も休まらず、今後も葛藤が続くことでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男