70歳を迎えるに当たって、承継者探しが始まった。
同じ支部のメンバーには、自分の事務所を任せられる同業者はいない。
同じシステムを使っている事務所が良いのだが、知人は嫌だ。
首都圏で、承継先として申し分ない税理士法人を候補に挙げる。
ホームページなどを参考にして、検討に入る。
職員が雇用されるのが重要な条件なので、職員の意見も訊くと言う。
結果、直接会って見たいということになり、スケジュールを調整。
承継候補の事務所を訪問し、代表者および幹部と面談。
代表者から、じっくり時間をかけ、顧問先に不安が起きないようにしたい。
併せて、先生にも一緒に仕事が続けてもらいたいといった要望も。
事務所の規模は格段に違い、組織力もかなりの格差がある。
それだけに、譲り渡す側として、組織のなかに埋没してしまわないかの不安も。
承継先の職員との格差を、雇用される職員が埋められるかどうかの懸念も。
それ以上に先生自身が、組織内で仕事をする経験がないのが、これが問題。
支店を作り、業務を拡大しようとする法人に協力するのはいかに?
職員がこれまで以上に活躍できる環境が、果たして維持されるのだろうか?
面談を数日過ぎたある日、先生から「相手に断りを入れてください」。
その理由は、自分には合っていないと言うが、具体的な指摘はなし。
その後、具体的な条件を改めて訊いてみたが、自分の気に入るものとだけ。
そう言われれば、その通りだが、条件が分からなければ相手も探せない。
こんな話をある先生に話すと、「腹落ちしないんだね」とつぶやいた。
どんなに優良な相手を紹介しても、話はまとまらないねと断言。
その通り、数件を紹介したが、自分には合わないし、職員も同じと拒否。
中にはこんな案件もあります、仲介契約はその後解除となりました。
腹落ちしているかどうか、その判断は実に難しい、率直な感想です。
事業承継支援室長
大滝二三男