税理士事務所経営は家業であるというのが、一部常識となっている。
それだけに経営を任せるのは、身内に限るのだが、悲しいかな資格ビジネスの宿命。
そう、身内に税理士試験に合格できる人がいないという、現実の直面する。
親として子供の進路を自由にはできないが、何とか資格を取ってもらいたい。
その願いも空しく、大学受験でも税理士には関係のない学部に進んでいく。
親父の仕事を見ていると、精神的にも苦労が多く、あとは継ぎたくないとなる。
さらに、娘さんの場合、事務所で働くものの、資格にはそっぽを向く。
自分には到底受かるとは思えないし、お嫁に行くまでは事務所で”お手伝い”。
しかし、父親は何とか婿さんに資格者を迎えて、後継者にしたいと考える。
そのためにはあらゆる情報網を使い、適任者を探す努力を重ねる。
かつて、税理士の婚活を税理士協同組合が実施していたことがある。
今はなくなったのだが、なぜ辞めたかと訊けば、男は男だけで話す。
うまく男女が話をできるように仲介をするのだが、あまり効果はなかったという。
ここ数年は一般の婚活が盛んだが、ひょっとすると、早過ぎたのかもしれない。
ある税理士さんから、二人の娘さんの婿さん探しを依頼されたことがある。
娘と結婚した税理士に、将来事務所を任せるというのが、その条件。
ところが、女房の親父さんと一緒に仕事をする、これは今の若者にはきつい条件。
昨年、相談を受けたケースでは、娘さんと恋愛結婚した婿さんが事務所に来た。
娘さんも事務所で働いているのだが、婿さんと親父さんの意思の疎通が十分でない。
婿さんも家に帰れば、親父さんに対する批判で、娘さんも疲れ切っていた。
相談内容は、どうしたら婿さんとの話がスムーズにできるかということ。
本当にお悩みの先生も70歳を過ぎ、そろそろ引退を考えているところ。
婿さんと経営の話ができない状態では、引退を決めるわけにもいかない。
そこで実情を詳しく訊いているうちに、非常に簡単な解決策が浮かんでいた。
それを先生に提案すると、疑心暗鬼になっていたが、「やってみます」。
それから1週間後に電話で状況を訊いてみると、なんと感謝の言葉。
今ここで具体的な提案を明らかにはできないが、とにかく婿さんとの話ができた。
恋愛結婚をした婿さんでも、こんな息苦しい関係になるのだから、見合いとなれば、、、
そう、税理士の婿さんを探すのは、非常に難しい。
日ごろから職員の資格者が出るように、頑張らせる努力も必要でしょう。
でもでも、やっぱり娘さんに引き継がせたいんですよね、お宝の山を!
それができなくて、高齢も高齢80代後半まで頑張る先生もいます。
職員として働く無資格者の子弟の生活を守るために、仕事を辞められない。
いつの間にか、そんなに歳を取ってしまったというのが実態のようだ。
そんな先生に後悔はない。しっかり家族を守ってきたという自負があるから。
もし、20代の娘さんに婿さんをお望みでしたら、監査法人に勤務させる手もあります。
そう、若者同士気の合うこともあり、恋愛から結婚へ進んだ実例もあります。
公認会計士の婿さん、若いうちは監査法人にいて、頃合いを見て事務所入り。
孫でもすでにできていれば、親父さんも早々きつくないでしょう。
まさに家族万歳、血は水よりも濃い家族での事業承継ができますよ。
こんな手を使っている税理士さんも実は多いのですが、いかがですか?
事業承継支援室長
大滝二三男