県庁所在地の都市には、各官庁所轄の士族が集中しているのが普通。
税理士も当然、企業が集まる県庁所在地に事務所を置くことになる。
その結果、競争が厳しくなり、顧問料も価格競争に巻き込まれる。
東京、大阪、名古屋そして福岡などでは、まだ成長の余地はある。
しかし、それ以外では、現状を維持するのがやっとで四苦八苦。
職員の給与をここ数年上げることができないという事務所も多い。
中には、顧客減で、事務所を縮小しなければならない事態に。
しかも、平均寿命が伸びるなかで、事務所の゛寿命゛も伸びる。
こうなると、若手の税理士が開業できる余地は、ますます狭まる。
ところが数万人規模の都市では、思わぬ生き残り策がある。
高齢の税理士が死亡すると、お客さんの受け皿が必要になる。
地方都市ほど税理士の高齢化が進んでいる。
そこに若い税理士が開業すると、事業承継の゛期待の星゛となる。
3万人やっとの都市で、5年間頑張った税理士が、今は左団扇。
先生いわく、営業しなくても、承継とお客からの紹介で伸びた。
伸びる素地はなかったのではと、疑問に思うのだが、それがあった。
高齢化していく税理士に見切りをつけて、お客が来るというのだ。
小さな都市でお客が移るのは難しそうだが、必ずしもそうではない。
お客さんの先生にもしものことがあったらという心配が、一番。
そう、生きの良い先生に頼んでおけば、先行き不安もない。
同業者からの情報を耳にした顧客が、自然とやって来るという。
正にじっと生き残っていれば、事務所も自然と大きくする。
そんな状況の都市には、競争相手はやってこない。
これから開業する税理士には、若手がいない所を探す。
そして数年間はじっと我慢し、税理士会にはせっせと通う。
そうすることで、高齢の先生の信用と信頼を勝ち取る。
これができたら、事務所の将来は必ずや成長する方向に行く。
最も数十年後の高齢化した自信の姿を見ることになるのだが。
思わぬところに、開業の余地ありではないだろうか。
最も誰もが出来ることではないのも、事実のようだ。
事業承継支援室長
大滝二三男