譲り渡し側の税理士事務所で、退職金規定があるのは半数ほど。
これは、これまでに仲介してきた事業承継の結果。
退職金規定はないが、自分の都合で事務所を閉めるから払う。
こう答えた先生も何人かいたが、実際に支払われたかどうかは?
お客さんだけを紹介する形で、事務所を閉めた先生の場合は、退職金なし。
と言うより、この形ではすでに職員がいないケースがほとんど。
自分でできる範囲で独り仕事を継続し、最終的に静かに事務所閉鎖。
もちろん、大きな事務所でも退職金規定を持たない事務所も多い。
職員が30人未満であれば、中退金を利用しているのが普通。
このケースで事業承継する場合には、退職金での混乱はない。
その一方で、引き受け手に退職金規定がないケースが増えている。
この場合には、譲り手が退職金を払い、その後は退職金はなし。
この条件で雇用を継続するが、辞める職員はほとんどいないのも事実。
引き受け手が税理士法人の場合、規定そのものがないのが今や普通。
そんななかで、経営陣には生命保険を活用しているケースもある。
この場合、途中で退職となった時には、退職金が支払われないこともある。
経営陣に行き着けない職員には、残念ながら退職金は支給されない。
退職金がない顧問先を担当している職員は、納得するのが早い。
退職金を頼りに仕事を続けるといった風潮も、今や薄れているわけだ。
なお、退職金相当額を給与に含めているという形も増えている。
若者たちは、退職金にこだわってはいない。
それより、自分の能力を充分発揮できる職場を求めている。
事業承継支援室長
大滝二三男