このブログでは、昨日もこくぜいOB税理士が、”持ち逃げ”した事例を書きました。
過去のブログでも、実は昨日と同じ件で起こったトラブルを挙げています。
どういうわけか、所長税理士の下で”実直に”働いてきた番頭さんとの連携がほとんど。
もちろん、顧客情報をつかんでいるのは、中途採用の勤務税理士ではなく、番頭さん。
所長に実務を任され、顧客とのつながりも強い職員たちは、承継後が気になるところ。
そこで、後継者との関係を深め、自分の立場に変化がないように画策する。
そこに目の上のたんこぶとなる所長の家族がいると、事態はややこしいことになる。
即日の電話を繰り返すと、5年前に所長が急死、そこに登場したのがOB税理士。
実務を知らなかったOB税理士は、5年間じっと”我慢”して、職員から指導を受けた。
職員たちも、日ごろから元所長の家族が経営を牛耳っていることに反発。
もちろん、そんなことはおくびにも出さず、この5年間和気あいあいと仕事をしてきた。
ところが今年の3月に突然、税理士が独立を宣言。
元所長の家族を除く、全職員を連れて事務所を引っ越していった。
寝耳に水は、放り出されたも所長のお子さんたち。
事務所のローンも残ったまま,無収入状態になり、ローンも払えない状況に陥った。
そこで、事務所を承継するのならば、その対価を支払うよう要求したが、答えは「ノー」。
現在は一切交渉にも応じていないというから、本当に気の毒な話。
本日は、OB税理士が”持ち逃げ”した話ではなく、逃げられた話。
この方、国税局でもトップの役職に登り詰め、退官を機に地元の有力事務所長からの誘い。
高齢になっていた税理士さん、後継者がいないところから、国税局OBをリクルート。
退官後、同事務所に後継者含みで勤務税理士として働き始めた。
大学の同窓の税理士などが集まって、後継者になったことを祝ってもくれた。
同税理士の勤務態度を良しとした所長は、体調も良くないので早々と引退を決意。
所長の地位をバトンタッチして、事務所を離れた元所長、なんとその後まもなく死去。
元国税局のトップクラスを迎えた事務所は、周りから大いにうらやましがられたものだった。
職員たちにも、将来は安泰だと、うらやむ声もしきりに聞こえてきていた。
ところがある日事務所に赴いた所長に対して、全職員が事務所を辞めると宣言。
何のことやらと戸惑うOB税理士を後に、話し合うこともなく、全職員が事務所を去った。
それと同時に、顧問先すべてが契約解除となり、実に狐につまれた話。
実務などやったことのない税理士だけに、職員がいなければ仕事にならない。
その後、同じ市内の他の税理士事務所に全員が就職し、顧問先もそちらに移っていた。
何故そんな事態になったのか、考えに考えても理解ができない。
国税局のトップクラスにいただけに、だれに相談することもできず、体を壊してしまった。
そして、その後体調が戻らぬままに、旅立ってしまった。
「なぜだ!」と叫んでも、元職員たちは口をつむるだけ。
同じ地域で仕事を続けている職員、彼らを受け入れた税理士も寝覚めは悪いだろう。
地元の業界人たちは、皆知っている話だが、だれもそれを口に出そうとはしない。
こんな話もあるんですね。
嫌な話ですが、今回はOB税理士の話を2日続けて書いてしまいました。
事業承継支援室長
大滝二三男