公認会計士の監査業務を事業譲渡した場合の課税関係は、どうやら税理士とは異なる判断があるようです。
一身専属の業務展開をしている税理士、公認会計士、弁護士、そして医師などには、いわゆるのれん代、営業権は認めれらない。これが判断基準となって、税理士の事業承継の際に受け取る金員は紹介料とされています。
営業権の譲渡として認められず、単なるお客さんを紹介した手数料として、雑所得の判定がなされています。
しかし、現在の事業承継の多くは、税理士法人が承継先となって、譲り渡す側の税理士自らも、承継先の税理士法人の社員税理士になる、さらに職員も同時に移籍するという形を取っています。
つまり、事業の全体が承継先に委譲されるのであって、単にお客を紹介するという形のなっていない例がほとんどです。顧問先のみならず、職員や業務用の機器までも含めて、事業すべてが譲渡されているわけです。
こうなると、のれんは認めないというものの、営業権そのものも含めて譲渡しているという判断ができるのではないでしょうか。
そこで、昨日「公認会計士の会計業務は営業権の譲渡として、申告できる」という話を、国税庁OBの方から聞きました。すなわち、会計業務は一身専属の形でなくても、だれでもできるというのが、その判断の理由です。
そうなると、税理士でも当然会計業務を行っているわけですから、こちらも事業譲渡として、申告できるはず。その先生が言われるのには、「だから、会計法人を持っているのでしょう。その法人を売却すれば、当然事業譲渡として認められるでしょう」。
まさに初めての判断材料です。先日も、国税OBの税理士さんが専門誌に「承継の一部は事業譲渡に該当する」と書かれていましたが、このような判断が40年ぶりになされるのではないかとの期待も出てきています。
「税理士業務の承継による収入のすべてが雑所得である」という”定説”が、一部変更されることを報告できる日は近いといった印象を受けた経験でした。
事業承継支援室長
大滝二三男
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