「先生、体調はどうなの? もしもの事があると、うちも大変だからね」
何気ないこの一言で、30数年の歴史に幕を閉じることを決意。
1年前に胸に影があり、手術の結果、悪性腫瘍であることが判明。
ガンはすべて切り取ったが、再発の可能性は残っている。
片方の肺の三分の二を切除したので、呼吸も厄介。
風邪もひいてはいけないし、タバコの煙も大敵。
顧問先の社長のたばこも、決算報告のときは事前に゛禁煙のお願い゛。
そんな状況でストレスも溜まり、身体が言うことを利かなくなることも。
職員も所長の体調に不安があるものの、それを口にすることはない。
それが分かるだけに、事業承継を考える日が続いていた。
そこに笑いながらの社長の「もしもの事があったら?」の一言。
何時どうなるかもわからない体調に、家族も早くのんびりしてほしい。
「仕事より命でしょう !」。
妻の言葉に後押しされ、お客と職員を引き継いでもらえる相手を探す。
数カ月後に契約も完了。今はのんびりとお客と引き継ぎ手と繋いでいる。
事業承継支援室長
大滝二三男