後継者として、勤務税理士を考えている先生も多い。
人物がしっかりし、創業者の経営方針を踏襲すれば、所長も納得。
しかし、事務所の規模が大きくなると、単純ではなくなる。
従業員の評価なども承継の条件のひとつとなる。
当然、従業員と折り合いが悪ければ、経営者としては前途多難。
自分が採用した職員でなく、同僚として勤務しているだけにもつれる。
引継後に、相性の悪い職員が一緒に働きたくないと゛持ち逃げ ゛することも。
それ以前に創業者が、承継の対価を要求することも当然ある。
所長には個人事業者ということで、自らに退職金を支給できない。
ごく小規模な事務所だったら、要求する対価も少ないだろう。
しかし、職員が5人、10人ともなれば、数千万円要求してもおかしくない。
それだけの対価を、勤務税理士が支払えるだろうか?
長期に及ぶ分割払いを創業者は認めるだろうか?
その前提としては、一時金で要求金額の2~3割を払うことも必要になる。
さらに、事務所が創業者所有であれば、承継後に賃貸することになる。
自分の事務所にしたいと思えば、ある程度賃借した後に事務所も替えたいはず。
そんな条件をクリアできる勤務税理士は、果たしているだろうか?
創業者がある程度条件を下げることで、初めてスムーズな承継は難しい。
自分の事務所の評価を下げたいと思う創業者入るだろうか。
自ら対価を決めた先生なら、一般相場より安く言っているはず。
もっとも、勤務税理士の給与は先生が一番わかっている。
だから、承継の対価を支払うことができるかどうかもわかっている。
それでも高額な対価を求めることは、後継者としては認めていないことになる。
対価は要らない、ごく少額なら、勤務税理士でも承継可能だが、はたして?
事業承継支援室長
大滝二三男