税理士さんの事業承継を支援している我々も、いつかは出会う認知症。
人生が長くなれば、誰もが直面する゛あんた、誰?゛との物忘れ。
認知症の初期段階なら実務を十分できる。
同時に職員任せで日々を過ごしている場合、実務のチェックも無し。
過去に認知症が進み、お客との対応ができなくなった先生にお会いした。
その時には既に事務所の現状も分からない状態で、説明は全てご家族。
そうなるまで、職員からも対策をとるように要望があったという。
先生本人は物忘れが激しくなった程度で、病気との認識はなかった。
それだけに職員の不安は、それこそ忘れ去られていた。
しかし、税務調査の際に先生の対応に厳しい判断が出された。
税理士として仕事ができる状態ではないとの判定。
事業承継も指示され、それを知った職員も職場を去っていった。
同時に退職した職員が担当していた顧問先も契約解除が続いた。
この段階で支援室に話が舞い込んだのだが、事務所の現状は最悪。
残っていた職員から説明を受けたのだが、その職員も途中で退職。
最終的には地元の先生が顧問先を引き受けたのだが、その数は激減。
結果的に最盛期の3分の1程度で、対価も少額になってしまった。
対応が早ければ、そこまで悪くならず、職員とともに承継もできたはず。
認知症の場合は、こういったケースがほとんどだけに、たちが悪い。
この点を考えると、先生本人が事前に対応策を練っておく必要がある。
と同時に、ご家族もビジネスへの真摯な対応が迫られるわけだ。
的確な対応が遅すぎることはないだろう。
事業承継支援室長
大滝二三男