よく聞く話です。後継者を探しているというので話を聞くと、息子さんは会計人。
首都圏の監査法人でパートナーになっているという。
親の仕事と同じ会計を飯にしているのだが、税務ではなく、財務が主力。
しかも、公認会計士として、上場企業の監査を見ているので、お客のサイズが違う。
もちろん、税務を担当していないので、即後継者になることはできない。
親にもしものことがあった場合、税理士事務所はどうなるのだろう。
親子の会話では、息子さんは今の仕事を辞めることは考えていない。
しかも、嫁さんは同じ監査法人に勤めていたOLで、こちらも地方出身者。
家も首都圏に建ててしまい、子供の教育を考えると、親の事務所を継ぐことは不可能。
こうなると、ほとんど税理士事務所を息子に譲ろうという親の思いは、通じない。
先生も仕方なく、地元で後継者を探そうとするのだが、未練は残る。
ひょっとしたら、息子さんが帰って来て、事務所を継いでくれるのではないかと。
そんな思いを吹っ切るように、当支援室に相談が寄せられる。
先生自身もまだ元気なので、すぐに後継者を決めることはないと考えておられる。
しかし、職員も息子さんが帰ってこないことを知り、口には出さないが、不安が募っている。
当然職員の生活などを考えれば、後継者を決めて、次のステップに進む必要がある。
せっかく親の背中を見て、同じ会計人になったのに、後を継がない子弟がここにきて増えている。
将来的にも地方経済が縮小する一方であることを考えれば、仕方のないことか。
先生の葛藤はまだまだ続く。
事業承継支援室長
大滝二三男