親父さんは苦労しながらも、試験に合格した経験を持っている開業税理士。
息子は大学を出てから、税理士試験の勉強をしながら、事務所で実務を担当。
卒業後10年、息子さんも結婚し、子供もできた。
そんな息子さんが、簿記・会計の2科目は合格したものの、税法はクリアできない状態。
実務はほとんどできているので、事務所内ではそれなりの評価をされている。
親の目から見ても、職員が残業しない中、休日も出勤して業務を全うする。
顧客にも息子とともに出かけることもあり、おおむね後継者としての評価もある。
でも、残念ながら試験には合格せず、ここ数年はもうあきらめた状態。
というものの、仕事はで見るので、転職させるつもりもない。
税理士として、そろそろ引き際だと考えている親御さんは、息子とその家族の生計が気になる。
事務所を辞めると、30歳中盤の息子が手に入れられる収入は、とても家族を養える額ではない。
地方なので生活費はそれほどかからないとはいうものの、転職できる職場はない。
そうなると、親父さんは廃業することは当分できない相談。
しかし、いつまでもこの厳しい税理士業務を続けることは、どう考えて無理。
職員の作ってくる申告書などをチェックするにしても、昔のように右から左の処理はできない。
しかも電子申告となると、これまた画面でチェックなどできない相談。
いちいち紙にプリントアウトしてから、精査をするのだが、見落としも少なからずある。
さて、このような状態でどうしたら息子の家族の生活を守れるのかと、相談になったわけ。
答えは簡単なのだが、親子の間で意思の疎通が出来上がっていないこともあり、これを確認。
事業承継の道筋を説明する中で、的確な方策を提案するのだが、果たして納得できるだろうか。
息子さんを余りに高い評価をしている親御さんでは、様々なハードルがあるが、果たして!!
なかなか”まな板の鯉”にはなれませんからね。
事業承継支援室長
大滝二三男