3年前のこと、春先に某税務署の総務課長が、事務所を訪れた。
総務課のチェックは、税理士事務所を10年もやっていれば一度は経験するという。
税理士として、職員の管理・指導等が的確に行われてるかどうかを調べるわけ。
同様な業務を、国税局所属の税理士専門官も担当している。
彼らの場合は、税理士の非行などを探り出し、”処分”ができる案件を徹底チェック。
いわば、税務調査担当者は、どれだけ多くの増差所得を上げることができるかが勝負。
それに対して、税理士専門官はより悪質な税理士を上げられるかが、”出世”のカギ。
当局はそんなことはありませんとの、公式見解を述べるだろうが、実態は「数を上げろ!」
それとは相当開きがあるのが、税務署の総務課長が来所するケース。
3年前の話は、新規開業の勤務税理士が、高齢の先生の事務所を事業承継した直後のこと。
この税理士、所得税は試験合格したものの、他の税目は大学院修士課程修了で免除。
何気なく、「法人税はよく分からないんですよね」と、日ごろの悩みを打ち明けてしまった。
そこで総務課長さん、お人よしなんでしょうね。「税務調査などで話さないほうがいいですよ」
なぜ?「税理士として理解できない申告書に判を押したとして、非違行為になると思います」
「税理士資格の禁止まで行ってしまうとも考えられます」
事業承継した職員たちが作成する申告書をチェックをするため、もう一度学習する必要が。
しかし、国税OBで法人税や所得税を経験していない税理士も多いことから、ちょっぴり疑問も。
その後、税務署から何のお咎めもない状態が続いているので、まずは一安心。
でも、職員たちがそのことを知れば、いや薄々わかっているはずで、尊敬はされないだろう。
そればかりか、先生としての威厳も損なわれかねないだろう。
勤務税理士が事業承継をするのも、実は大変なリスクもあることが分かった事例でした。
事業承継支援室長
大滝二三男
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