こんな相談をされる例があります。
個人事務所から独立し、十数年経ったときに、前の事務所の先生が死去。
たまたま、後継者がいなかったので、遺族から声がかかり、承継。
ただし、承継した事務所の売り上げと、自分の事務所の売り上げはきっちり分けた。
事務所の職員を引き受けたので、業務も厳しく区別してきた。
収入および経費も申告は一緒だが、いわゆる事業部制のように整理してきた。
その結果、承継した事務所分の収益がほとんどなく、気苦労だけが残った。
ここ数年は顧問先の経営者の高齢化などで、廃業等も増え、顧問先は減少傾向に。
先生の年齢も古希となり、自らの体調などにも変化が出てきたところ。
このまま事務所経営を継続するのはしんどくなる一方なので、独立時に戻りたい。
つまり、自分一人でできる業務だけを残して、職員とその担当顧問先を譲りたいという。
この場合は、実にしっかりした内容なので、弊社も仲介を引き受けた。
しかし、次の例はいただけない。
20年近く勤務した職員が退職することになった。
その職員は自分勝手な処理を繰り返し、税務調査でもたびたび加算税を課される始末。
まあ、監督不行き届きなのだが、そのベテラン職員の顧問先まで手が回らなかったという。
業務経験も豊富だから間違いがないだろうと、気を許していたのだが、結果はバツ。
そこで先生、その職員の担当する顧問先だけを引き受けてくれる事務所はないかと相談に。
将来的に損害賠償請求などが起きた時には、当然先生の責任ですよ、と忠告すると。
そんなことはないでしょうと、暢気に構えていた。
しかし、仲介者として、同時に引き受け後に、顧問先が減少した際の減額調整を提言。
それに対して、引き受け手にも責任があるから、半々でどうでしょうときた。
結局この段階で、仲介はストップ。中身が薦められるものでなかった。
経営責任に関してもあやふやなので、将来的に問題が出そうなので、お断りです。
こんな例もあるんですね。
事業承継支援室長
大滝二三男