我が子に事業を承継させたいのは、親のエゴかもしれません。
でも、事業を立ち上げ成功した親は、自分の子供にその”財産”を受け継がせたいのです。
税理士事務所の場合には、事務所の承継者は税理士資格がなければなりません。
もうどの親もそのことを知っていますから、子供のころから暗示をかけてきた親がほとんど。
しかし、子供の希望することは、夢を実現することでしょうから、親の思い通りにはいきません。
男の子の親は、自分と同じように試験に合格するものと、多くの税理士がそう考えます。
大学でまるで異なる分野の専門分野に進む子供を持つと、気も変わってきます。
子供の好きなように進めばいいだろう。この仕事は自分限りで、終わりのしようと諦めます。
ところが、女の子を持つ親はそうではないようです。
自分が作り上げた城(富を生む城)を、なんとしても娘に継がせたいと考えます。
もちろん、その願いが叶い、娘さんが税理士試験の合格すれば、言うことなしです。
でも、試験を受けるようなこともなく、一般企業に勤務する娘さんにも諦めません。
それ以前に、事務所を娘に引き継ごうと考える先生は、娘さんの就職にも一計を。
なんと、税理士事務所(法人)もしくは監査法人の伝手を探します。
そして、税理士資格を持つ若者たちが多くいる集団の中に、娘さんを放り込みます。
娘さんと税理士との間に恋愛感情が芽生え、結婚まで行けば大成功。
事務所の後継者は出来上がるわけです。
婿さん探しに明け暮れるより、この方が”効率よく”、財産が娘に引き継がれるわけです。
そのうえ、孫が生まれれば、これまた結構。婿さんにもあたりが柔らかくなります。
孫のためにも、婿さんを大事にし、事務所をスムーズに引き継げさせれば、こんな幸せはない。
当支援室にも、資格のある婿さんを紹介してくださいという税理士さんからの照会もあります。
これには、「娘さんを結婚相手のいる会計業界に勤務させるのが、一番です」と答えます。
しかし、資格のある娘さんを紹介してくださいという連絡には、冷たく「紹介できません」。
事業承継支援室長
大滝二三男