まずは、後継者(資格者)がいない、資格があっても後継者適任者がいない、ということ。
先日のご相談では、ご子息は資格がない。資格がある職員はいるが、経営する気持ちはない。
そうなんです。資格を持っていても、トップとして、責任を負いたくない人が増えています。
税理士資格のあるサラリーマンとして仕事はするが、経営者にはなりたくない。
とはいうものの、若い資格者の場合は、キャリアアップのための転職はいつでもオーケー。
いい仕事がしたい、さらに高給を取りたい、でも人を育てたり、経営の責任は取りたくない。
税理士になったからには、独立して自分の事務所を持つという時代は、もう過去の話。
その気持ちを大事にして独立はしたものの、年収数百万円で勤務税理士にリターンする人も。
そう、独立して事務所を軌道に乗せられる人は、この時代非常に少ないし、本当に一握り。
ITを使いこなし、低コストを実現する中で、営業力なある人でなければ、独立はまず不可能。
だからと言って、そのような勤務税理士が、事業承継をできるかと言えば、それはまた疑問。
サラリーマンとして金看板を背負っているときと、独立した時では信用の度合いは段違い。
そこを勘違いすると、見事にあぶれ税理士の道に。これは一流企業のサラリーマンと同じ。
多くの事例を見てきたが、ほとんどの事業承継する事務所は、後継者を育てていない。
というより、後継者を育てることを拒否した先生がほとんど。
事務所には税理士は自分だけでいい。勤務税理士もいらない。
事務所から多くの税理士が育っていったという先生なら、その誰か一人を後継者にできるはず。
でも、ほとんどの場合、独立した先生から、一緒にやりましょうという声は、聴かれない。
個人事務所の限界がここにあるだろう。
そう、数年後には、確実に税理士法人の時代、それも大規模法人の時代になるはずだ。
その時には、事業承継の話は、税理士法人同士のM&Aになるに違いない。
事業承継支援室長
大滝二三男