相続が起きてすぐに税金の相談に来る相続人は、どれだけいるだろうか。
父親や母親が死んだときには、葬式などで相続の話はそれが落ち着いてから。
実はそこから”争族”も始まるのだが、相続の実務を任される税理士の持ち時間は、数か月。
争いがない相続の場合は、実務を淡々と進められるわけだが、その報酬は申告終了後。
数か月の業務は、申告が終了するまで無料で、淡々と行われる。
その間は、税理士事務所の収入は一切なく、申告終了までは持ち出しの状態が続く。
相続をメインとしている事務所の場合は、極端に言えば10か月間のコストを事務所持ち。
当然相続を専門とする職員の給与は毎月払い、申告終了後の手数料収入で清算する。
実は、この間のコストを吸収するまでの期間は、いわば前払いの状態が続く。
件数が多ければ多いほど、コストは先払い、収入は後からだけに、資金の調達に苦労する。
ある事務所では、はじめ3割、中間3割、そして終了後残金の形で、手数料を確保。
これで、資金的に苦労することなく、相続業務に専念できるようになったという。
はたして、多くの税理士事務所で、このような形を採用することが可能だろうか。
確定申告でも、申告が出来上がって初めて、請求書を出すのが一般的だからどうだろう。
先払いを請求できる事務所はどれだけあるか疑問だが、このシステムは参考になるはず。
これからの税理士事務所は相続なしでは、先細りは明らか。
こんなシステムで、スポット業務を請け負ったらどうでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男