税理士稼業から足を洗う団塊世代が、このところ増えています。
30年以上一つの事業にまい進してきた元気な中高年が、果たして次に向かう先は?
事務所を引っ張る”機関車”として走り続けてきたわけですから、精神的な疲労もかなりなもの。
もちろん、体調にも十分満足とはいかないまでも、仕事を続けるにはほぼ100%力が出せる。
とはいいものの、やはり前期高齢者として、記憶力も落ち、昔のように頭は元気ではない。
昔取った杵柄で、毎日を乗り切ってきているのも事実。
できれば、身内の後継者に渡せるものなら、早くバトンタッチがしたい。
そうこうしているうちに70歳を迎え、ますます事業承継の必要性が高まる。
それでもズルズルと、仕事をつづけ、気づいてみれば、一人で出歩くこともできなくなっている。
そんな不安が頭の隅を残り、後継者問題はどうにかなるだろうと、事業承継に走る。
そう第一期ベビーブーマーの彼らには、すでに労働の現場から離れた仲間が数多くいる。
ともに好きなことをやりたいのだが、まだ現役を続ける身では、仲間と一緒にはなれない。
そんなことを考えてか、このところ彼らからの相談が増え続けている。
税理士として同世代の税理士が特に多いとは聞かないが、相談者の割合は確実に増えている。
しかも、税理士資格がない子供も勤務する、その子の生活も守れる相手を探そうという。
団塊世代の子供だから30歳から40歳くらいまでだから、その子たちの人生はまだ30年以上もある。
その子の生活を赤の他人に任せようというのだから、これまた勇気のあること。
自分が高齢で仕事をできなくなる前に、他人に任せ、自分もこれからの第二の人生を楽しむ。
がむしゃらに社会の荒波と闘ってきた世代だけに、人生にもちょっと変わった考えがあるのかもしれない。
「子供がいるから、渡すに渡せない」とは、ちょっと見方を替えればいいのかもしれませんね。
事業承継支援室長
大滝二三男