税理士事務所で事業承継をする際に、弊社が間に立って、種々の条件をクリアします。
もちろん一番の問題は、事務所の評価になりますが、両者が正面から渡り合うことはありません。
そう金額等でもめて、交渉が暗礁に乗り上げてはいけませんし、お金のことは任せるのが普通。
引き渡す側は高く、しかし引き受ける側は少しでも安くと考えるのが普通。
首都圏では、弊社が評価をした金額に関して、双方が異論をはさむことはほとんどありません。
ところが関西では、両社が面談した折に、こちらの評価を明らかにしますが、その場では笑顔で対応。
一生で一回、譲り渡す先生は最初で最後のことですから、当方もどちらかと言えば、譲り手側に。
とはいうものの、評価を中途半端な形にはしませんので、決まったことは守っていただきます。
そこで、一応の評価を聞いた時点で、必ずと言っていいほど、関西では値引きの話が出ます。
コストを下げるのは経営者として当然のことですが、事業承継の評価を低くして欲しいというのです。
その理由は、必ずお客さんは減るだろうし、顧問料の値引き交渉にも応じなければならないから。
高齢の先生の場合、昔からの顧問料を継続しているため、世間相場より高い傾向があります。
その一方で、顧問料の値引き交渉を想定する引き受け手は、最初から評価を下げておきたいのです。
この点に関しては、当社でもそれらの条件を勘案したうえで、評価をし、それも明確に説明します。
交渉に入る前の候補者選定の際にも、この評価方法などを十分説明すし、理解を求めます。
いざと具体的な数字が出るとなると、なぜか忘れられてしまいます。
「それでも何とか」という話になりますので、一応は譲り渡す側にはそれとなく交渉をします。
この段階で、譲り渡す側の心証は、明らかに悪くなります。
あくまでも交渉の仲介者である弊社の担当者が悩むわけですが、何とかその解決策と探します。
しかし、具体的な解決策が見つからず、交渉が暗礁に乗り上げることもあります。
ですから、無理な値引き交渉をすると、最後の機会を台無しにされた先生はご立腹です。
譲り受けた後も引継ぎなどの業務が続きますので、無理な値引き交渉は禍根を残すでしょう。
同時に、仲介者としても、このようなケースがあると、次回以降の案件紹介はできなくなりますね。
お渡しする先生のお気持ちは決して”笑顔”ではないはずですので、その点をご記憶ください。
事業承継支援室長
大滝二三男