日頃からそろそろ事業承継を考えていると、そっれとなく職員に漏らしている先生がいます。
その時がいつ来るのか、職員は気が気ではありません。
所長が辞めて、新しい先生が指揮を執るようになったとき、自分たちはどうなるのか。
所長の口からは、具体的なことはほとんど告げられません。
ますます、疑心暗鬼になるのも当然のこと。職を失うことになるかもしれません。
自分が若ければどんな先生でもいいのですが、中高年ともなると、そうもいきません。
だからといって、無暗に先生の決めた方針に逆らうこともできない、これもまた道理。
何やら、所長が動いているようだが、その中身は分からない。
まあ、所長も職員のことを無視して、勝手に承継相手を決めることはないだろう。
事業承継を実行しようとしている事務所では、そんなことを感じている職員もいるでしょう。
自分の立場がどうなるか不安だから、それも当然理解できるところ。
そこで、所長としていつの時点で、事業承継の進み具合を職員に話せばいいのだろうか。
当然、事務所の実情に応じて、職員に話をする時期は異なります。
先生が強力な指導力を維持している事務所では、スタート時から話をしてもいいでしょう。
でも、通常業務の大半を職員任せにしている事務所では、そうはいきません。
なんとなれば、職員の意見が幅を利かせいる可能性が、大だからです。
この場合、職員が反対の声を叫ぶ可能性が大きく、先生もこれを無視できません。
”自分たちがいなければ仕事が進まないでしょう”と、大反対が起こります。
そう、これまでの優遇されてきた立場が変わることには、当然答えはノーになります。
今まで通りに、自分たちは日常業務を滞りなくできていから、このままいきましょうというわけ。
高齢にもなり、事務所の出てくるのもしんどくなった先生は、一日も早く承継したい。
でも、職員が許してくれません。
そんな事務所の場合、事業承継ができず、先生に万が一のことがあれば、職員も失職です。
そこまで考えて、職員が抵抗するのでしょうか?
先生の指導力・経営力が問われます。先生の独断でいいのではないでしょうか。
最終的に相手が決まった段階で職員に話をした事務所ほど、上手くいっているのも事実です。
事業承継支援室長
大滝二三男