どこの国でも同じでしょうが、企業を経営する人は自分の子供を誰よりも可愛がります。
当然です。自分の子供を可愛いと思わない親がいるでしょうか?
しかし、自らが経営する企業の経営をその子供に任せるかどうかは、一概に言えません。
上場企業でも同族経営であり、代々創業家から代表者が出ている例はよくあります。
やはり、家族経営の延長線上で、代表者が決まってきたわけです。
とはいうものの、創業者一族から経営者として能力を疑われる人は排除されてきました。
単に、大株主として発言権は持っていても、経営は任されないという時代になってきているわけです。
創業者の名前で、今なお日本企業の最前線でその地位を維持しているのは、ほとんどありません。
つまり、いまや上場企業を創業者一族で経営を維持することができる時代ではないのでしょう。
話が大きくなりましたが、果たして税理士事務所の場合はどうでしょう。
税理士という資格がなければ、事務所を引き継げないのは、一般企業と大きな違い。
そんな中でも、経営者である税理士の子弟は、優遇されています。
自分の子供を優遇するのは当たり前でしょう、と言われれば、答えは「そのとおりです!」
でも、所長である税理士が事務所を他人に承継するとなると、そのお子さんの処遇はいかに?
「子供が新しい事務所で働けるかどうか、考え込んでいるんです」、よくある話です。
税理士試験に挑戦し、「何年かけても必ず合格します!」と意欲的に親に話はします。
しかし、親である税理士の目から見ると、とても真摯に試験勉強をしているとは見えません。
そこで、「もう、税理士試験は諦めて、他の仕事を探せ!」。
こんなこと事をはっきり言える所長さんであれば、多分事務所の後継者も決めているでしょう。
やっぱり、子離れできずに、子供を甘やかしてきた結果が、後継者がいないということになってしまった。
先生の顧問先である中小企業の経営者と同じことを、自らの経営する税理士事務所で行ってきた。
そんな税理士さんが、経営環境の厳しい今、一番苦労しているのではないでしょうか?
事業承継支援室長
大滝二三男