税理士事務所の賃金格差を書きましたが、確かに給与水準は決して高くはありません。
各顧問先企業の経理を見ている会計事務所の職員からは、ブーイングもあるでしょう。
しかし、自分が担当している顧問先からの顧問料収入を見れば、一般企業との比較もできます。
普通の企業の営業担当ですと、自分の給与の三倍は稼がないと、”合格”にはなりません。
一般的に、会計事務所の収入は、一人当たり1000万円が普通の事務所と言われています。
まあ、1000万円を超えていれば、いい事務所でしょう。
そこで、一般企業との比較です。自分の賃金より、3倍の収益を確保しろというのが、普通の企業。
これに対して、税理士事務所の職員の”稼ぐ”目標は、明確な指標はありません。
顧問先からの収入が1000万円であれば、その職員の給与は300万円超が適正でしょう。
さる大手の税理士法人でも、この数値を最低目標として、頑張っています。
しかし、就業10年を超える職員が、いつまでも売り上げ1000万円では、給与は上げられません。
数10年も同じ仕事で、売上も同じ水準で推移するようでは、毎年の給与改定はとても無理。
こうなると、税理士事務所の成長はないという、結論が出てきます。
答えは、”YES”。成長する可能性のない職場で、給与だけ増えることはありません。
子供たちは大きくなり、教育費などもかかるようになる。
そんなときに救いとなっていたのが、年功序列で給与も上がるという、いわば”神話”。
しかし、今は、年功序列で職員の給与を高水準に維持できるのは、ほんの一部。
税理士事務所が面倒を見ている中小零細企業では、はるか昔の話。
こうなると、資産を持っている中小零細企業の経営者でも、税金のない国へと逃避することも。
事実、かなりの数の資産家たちが昨年も香港やシンガポール、マレーシアに移住しています。
日本という国の魅力が、すごい勢いで無くなっています。
こんな状況にあって、税理士事務所が高額な給与を支払うことなどできようがありません。
ですから、安い給与に我慢できない人は、自ら独立すべきでしょう。
資格がない人は、同じ土俵に乗るためにも、資格を取ることをお勧めします。
ちなみに、弊社が事業承継をする際に、譲り受け候補者は、資格はもちろん、
法人税にに受かっている人しか、本気で紹介できないという事情もあります。
資格のない職員さんも、少なくとも法人税を予備校なりで、びっしり学習する必要があると考えます。
事業承継支援室長
大滝二三男